2012.08.21
最北端への旅から~宗谷岬
あれもこれも担当の千葉です。

 

前回に続いて北海道は宗谷岬への旅から。

 

広大な北の大地に悠然とたゆたう雄大な天塩川。レンタカーで

札幌から旭川経由で国道40号線沿いに北上すると、名寄市あ

たりから暫くはこの天塩川沿いのドライブ。北海道の広大さを満

喫しながら40号線を離れ日本海沿いのルートに。



サロベツ原野の北にある、浜勇知(はまゆうち)園地の海岸から

は、利尻富士の端正なシルエットが望めました。森繁久弥の句碑

がありました。『浜茄子の 咲きみだれたる サロベツの 砂丘の

涯の 海に立つ冨士』。この歌の通り、海岸のすぐ際まで浜茄子が

群生していました。



少し北の抜海(ばっかい)岬を回った辺りでちょうど日没。その時

のワンショットです。



北の果てはカタツムリの角のように二つの岬が突き出ています。

西側がノシャップ岬。岬の背後の丘には稚内(わっかない)公園。

ここには終戦後になって侵略して来たソ連軍から命からがら逃げ

延びた方々の望郷の念や、樺太の地に果てた方々への慰霊の

碑などがあり(氷雪の門、九人の乙女の碑など)、尖閣・竹島問題

の最中だけあって、戦争や領土など、歴史と外交について考えさ

せられました。

 

ノシャップ岬の付け根には稚内(わっかない)港があります。漁港

として栄えている街ですが、かつては樺太との定期船発着港として

も栄えていたようで、稚内港北防波堤ドームはその象徴です。

 



昭和11年に完成し、昭和55年に改築された、半アーチ型コンクリ

ート建築で世界的にも珍しい防波堤。アーチと円柱の曲線と、総

延長427mの直線が見事にマッチし、連続のリズム感が心地良い

優れたデザインの建築物です。日本土木学界選奨土木遺産であり、

北海道遺産にも選ばれています。



もう一方の東側の角が宗谷岬。残念ながら樺太は見えませんで

したが、樺太探検の間宮林蔵の立像や、鋭い三角錐のような形の

『日本最北端の地の碑』があり、北の果てに立ったという感慨があり

ました。



この碑の前で記念写真を撮ろうとする観光客が列を作り、次の人が

前の人のカメラで写真を撮ってあげると言うシステムが知らずの内

に出来上がり、『お願いします』『ありがとうございます』といった言葉

が行き交い、自然と『どこからいらしたんですか?』『えっ、親子三代

で自転車ツアーですか!』といった会話も生まれ、ほのぼのと気持ち

良い空間が広がっていました。

 

さて、今回の旅、そもそも次男の『最北端』に行ってみたいという言葉

からスタートした訳です。最東端は根室の納沙布(のさっぷ)岬、でも

北方四島が返還されれば最東端ではなくなってしまう、それなら最北

端に、という目論見がありました。そんな旅の動機をふと話したら、す

かさず長男が、『最東端は北方四島が返還されても変わらず南鳥島

だよ。』というではありませんか。また長男は北方四島が返還されて

変わるのは『最北端』で、択捉(えとろふ)島の北東端が最北になる

と言うではありませんか。帰って地図を見てみました。

 



確かに宗谷岬よりも択捉島の方が北になります。旅より戻ってから

も家族で大笑い。

因みに最東端は南鳥島、最南端は沖ノ鳥島(ともに東京都)、最西端

は与那国(よなぐに)島でした。