2013.11.24
シリーズ・徒然読書録~『(在中日本人108人の)それでも私たちが中国に住む理由』
あれもこれも担当の千葉です。

 

読書は好きで、常時本を持ち歩く癖が付いてしまいましたが、読み方は極めて大雑把、

何かしらからだのどこかに蓄積されていれば良いという思いで、雑然と読み流します。

その意味で、読者の皆様には退屈でご迷惑かとも恐縮しつつ、ブログに読書録なる

ものを記してみるのは自分にとって有益かも知れないと思い、始めて見ました。皆様

のご寛恕を請うところです。

 

徒然なるままに読み散らす本の中から気に入った本、今回は『在中日本人108人の

それでも私たちが中国に住む理由』(阪急コミュニケーションズ)。たまたま書店に平

積みになっていたものをパラパラとめくっていると北京在住の高校の後輩のコメントを

発見して購入しました。



2012年9月11日の尖閣諸島国有化を契機に起こった中国国内各地での反日デモ

はまだ皆様の記憶にもあたらしいでしょう。この数年でも大規模な反日デモは、200

5年春(小泉首相の靖国参拝)、2010年秋(尖閣諸島周辺での中国漁船船長逮捕)

と起こっていますが、皆、今回のデモは領土問題だけにこれまでとは様子が違うと感

じているようです。

 

しかし中国各地に在住する彼らの分析を総合すると、①デモはどうも官製らしい、

②ごく一部を除き、殆どの参加者はピクニック気分で、強い抗議の意思が見られな

い、③政治と民間・経済は全く別の問題と考えるのが一般的で、周囲の中国人は極

めて冷静、④友人や家族としての中国人は日本人に対してとても友好的だというこ

とです。その意味では、日本でメディアが報道しているほどの険悪な状況ではなか

った様子。

 

実際、南京にある当社の子会社では、日本人スタッフに現地の中国人スタッフが

宿と会社の間の送迎・エスコートを申し出るなど、これまでとは違う緊張感があるの

と同時に、日本人への特別な反感はありませんでした。

 

ご存知の通り、中国では反日教育がされていて、戦争中のドラマの中で描かれる

日本兵のワンパターンな悪者ぶりは有名です。それでも実際の日本人の友人へ

の感情は全く友好的。上記③で挙げたように、中国側は上手に建て前(公)と本音

(民)が使い分けられているようですが、逆に我々日本側が、本音(民)の実態を知

らないまま、メディアで報じられるいわゆる建て前(公)だけを真実だと勘違いして

いないか心配になってしまいました。

 

ちょうど11月11日付け日経新聞朝刊に面白い記事が出ていましたので、添付し

てみます。日中戦争の勃発を双方の世論の視点で省みた分析です。



基本的に、ブログやSNSには、政治的な信条や宗教的な主張を掲載しない主義

です。今回もその範を出るものではありませんし、本著も政治的に特別な傾向は

ありませんでした。百聞は一見に如かず。私も市の国際交流協会のお手伝いを

させて戴いていますが、草の根の交流がとても大事だと改めて気付かされた一冊

でした。

 

読んでいて、終戦時に満州でソ連の捕虜となり、4年間ソ連での捕虜生活を送っ

た父が良く、『日ソ不可侵条約を破って満州に攻め入ったソ連という国は大嫌い

だが、ロシア人は良い奴らで大好きだ』と言っていた事を思い出しました。