2020.08.19
シリーズ・徒然読書録~河岡義裕『新型コロナウイルスを制圧する』
あれもこれも担当の千葉です。

 

読書は好きで、常時本を持ち歩く癖が付いてしまいましたが、読み方は極めて

大雑把、何かしら記憶のどこか、心の片隅にでも蓄積されていれば良いという

思いで雑然と読み流しています。暫くするとその内容どころか読んだことさえ

忘れてしまうことも。その意味で、読者の皆様には退屈でご迷惑かとも恐縮し

つつ、ブログに読書録なるものを記してみるのは自分にとって有益かも知れない

と思い、始めてみました。皆様のご寛恕を請うところです。

 

徒然なるままに読み散らす本の中から今回取り上げるのは、河岡義裕氏(聞き手

河合香織氏)の『新型コロナウイルスを制圧する』です。副題には、ウイルス学

教授が説く、その『正体』とあります。

 



 

 

河岡氏は東大医科学研究所の教授で、米国ウィスコンシン大学にも籍を置く、

ウイルス学の世界的権威です。ウイルスのRNAに着目したリバース・ジェネティ

クスによりインフルエンザウイルスを人工合成する技術を世界で初めて開発した

方で、正に世界のウイルス学の最先端を歩んでいます。医者である私の同級生に

紹介されて読んでみました。私は見られませんでしたが、つい先日のNHK-

BSでも取り上げられていました。

 



 

あとがきの中に、最も印象的な言葉がありましたので、先頭にそれを記しておき

ます。

 

『世間では、ウィズ・コロナ、挙句の果てにはポスト・コロナという言葉も目に

するが、流行はまだ始まったばかりで、この冬の大きな波に飲み込まれてしまう

かもしれず、ウィズ・コロナで済むのかさえわからない。私たち人類は、この

ウイルスにつて知らないことばかりなのだ。・・・とはいえ、感染症は病原体に

曝されなければ感染を避けることができる。そのためにはどうすればいいかを

それぞれがよく考えて、有効なワクチンや抗ウイルス薬ができて、本当の意味で

のウィズ・コロナ、ポスト・コロナの時を迎えるまで、この大変な流行をみんな

で乗り越えたい。』フィジカル・ディスタンスをとって三密を避け、こまめな手

洗い消毒を欠かさない、という基本中の基本がやはり大切だということですね。

 

今回の新型コロナウイルスの正式名称は、当初の『2019-nCov』から

今は『SARS-Cov-2』に変更されています。いつまで『新型(n)』な

のかわからないことと、新型コロナウイルスは、SARSとゲノムが80%同じと

いう特徴があるからでしょう。疾患名は『Covid-19』です。

 

 

あとは、文中の気になる部分を羅列して終わります。

 

・これまで人類が感染したコロナ・ウイルスは7つ。そのうち4つはヒト

コロナ・ウイルスと呼ばれる通常の風邪のウイルスで、後の3つはSARS、

MERS、そして今回の新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)。

 

・流行を乗り切るためには、治療薬かワクチンしかない。

 

・抗体ができれば感染、発症しない。(一旦PCR陰性となった患者が再感染

したとの情報あるが、恐らく再感染ではなく体にウイルスが残っていたと思わ

れる)ワクチン接種の効果は高いと思われる。

 

・ワクチンには、生ワクチン、不活化ワクチン、サブユニット・ワクチン、

遺伝子ワクチンがある。新型コロナウイルスの不活化ワクチンは早く開発でき

る可能性がある。注目は、ウイルスを人工的に合成する技術、リバース・ジェ

ネティクスを活用する方法、もう一つは組み換えDNAを使ったワクチン。

 

・治療薬として今名前が挙がっているのは、レムデシベル、アビガン、カレ

トラ、フサン。ポイントは副作用と耐性ウイルスの問題。ウイルスの変異や

耐性ウイルスの問題を考えると、治療として使っても、予防のための投与は

勧められない。

 

・日本における感染の拡大が比較的穏やかなのは、BCGなど日本が特別だ

からではなく、多くの国民が一生懸命行動を自粛して来たから。自粛ムード

が緩めば再び感染拡大する。

 

・まだ不明ではあるが、季節性があるとみている。南半球の封じ込めが機能

しなければ夏にも再流行はあるし、季節性のため冬には大きな再流行の可能

性がある。

 

・ウイルスとの付き合い方は、国家や国民の考え方に左右される。命は地球

より重いとする日本では、医療を崩壊させず、人ができるだけ死なない方向

での対策が必要。

 

・見通し:断続的な流行が2,3年続く。まずは抗ウイルス薬が見つかれば

重症化する数は減る。その間に有効なワクチンが開発され徐々に流行をコン

トロールできるようになって行く。集団免疫の獲得にはかなりの時間がかかる。

世界的には数十年の単位。

 

・マスクは飛沫感染から守るには完全ではないが、少しでも効果あるならば

すべき。少なくとも飛沫拡散を防ぐためには有効で、マスクをする価値がある。

 

・感染予防は至ってシンプル。感染源に触れないことが最大の防御。100年

前と変わらない。人と人との距離をとるフィジカル・ディスタンス。

 

・感染経路は、飛沫感染、接触感染、エアロゾル感染。皮膚からは感染しない。

感染は粘膜から。

 

・このパンデミックにより国や人種、世代などの分断が見られる。これも100

年前と変わらない。感染防御という意味でも、今は分断している場合ではないと

知って欲しい。

 

・新型コロナウイルスが人為的に作られた可能性は極めて低い。ゲノム配列から

元々はコウモリにいたウイルスが、何らかの理由で人に感染したと見るのが自然。

毒性強いウイルスは既に他にも自然界にあること、人為的な変異を加えると弱毒

化に繋がり易いことを考えると、わざわざ人為的に合成する理由に乏しい。

 

・新型コロナウイルスはズーノーシス(人獣共通感染症)。ネコ科には感染する。

犬への感染力は極めて低い。