2019.09.30

後悔しないための 賢い家づくり勉強会

住まい担当の 大木です。

 

今まで数回にわたり 「家の燃費の話です」

というタイトルにて 高気密、高断熱の住宅のメリットについて

掲載させて頂きました。

 

本来であれば、一番くつろげる場所である自宅が

意外と健康被害に対しての危険もいっぱいで

品質によっては月々のランニングコストにも影響します…といった内容でした。

少しでも興味をもっていただければ幸いです。

 

そして家の性能に関しての更に詳しい

 

情報に加え お金に関するお得な情報 満載の

 

 「後悔しないための 賢い家づくり勉強会」

 

が近づいて参りました。

 

(10/6日午後1時30分よりです)

 

開催場所は 今年2月にリニューアル移転した

 

清水商工会議所 大会議室 

 

(駿東郡清水町卸団地132)



での開催となります。 まだ若干のご空席がございます。

 

是非 お早めに ご予約ください。

 

メール : kinoie@szki.co.jp

お電話 : フリーコール 0120-882964

 

【 お詫び 】

託児予約が既にいっぱいになってしまい、現在託児予約を受けることができません。

大変申し訳有ありませんが、大人の方だけの参加予約のみ受付しています。

託児があれば・・という方もキャンセル待ちでお受けいたします。

また対策を講じておりますが、今しばらくお待ちください。

 

既にご予約頂いております皆様方、

当日はお気をつけてご来場ください。
2019.09.27

裾野市の二世帯住宅

花崎です

 

 

現在裾野市で工事中の二世帯住宅です。

 

工事が順調に進み、先日外部の足場が解体されました。



(足場の解体前)



(足場の解体後)

 

モノトーンを基調としたシャープなデザインの外観です。

 

 

内部の造作工事も大分進んできました。



(画像は二世帯で共有する小屋裏収納です)

 

 

こちらのお宅は11月の上旬~中旬頃、完成見学会を開催させて頂く予定です。

 

二世帯住宅をご検討中の方、完成した建物にご興味のある方、

 

是非完成見学会にご参加ください。
2019.09.22

「家と燃費の話です(5)」

住まいを担当している大木です。

 

前回「高気密高断熱の家は、建物の寿命についても大きな効能があります」

とのブログを書かさせていただきました。

 

とにかく

日本は高温多湿のため1年中結露は発生しやすい 

その結露はカビやダニが暮らしやすい環境をつくり、健康被害につながる

という話でした。

 

今年の夏も暑かったです。

冷たい飲み物が すぐに



こんな感じになりますよね。

 

前回書きましたが、壁の中にも結露はおこります。

古いお寺のように、断熱材無しで壁や床の間は風が通り放題。

そのような建築物は結露が起こりにくいのです。

(そもそも暖房、冷房も無い時代ですし)

 

起こったとしてもすぐに通気が乾燥させてしまい。

結果、何百年も建物が現存できるのですね。



それでは人は暮らしにくいので、

それなりに断熱材を壁、天井、床下などに配置し、断熱を試みます。

しかし、この中途半端な断熱や気密がより多くの結露を壁内で発生させてきました。

断熱材自体もグショグショになり、通気を妨げ、結露が発生しやすくなります。

その結露により発生した水分が、土台や柱、いわいる構造体の劣化を招きます。

また、構造体同士をつなぐ住宅の金物自体が熱を伝える事になり、

金物周りの結露を誘発し、一番大事な結合部の木材を弱くしてしまいます。

となると、

いざと言うとき十分な構造耐力を発生しない事になります。



中途半端が一番いけないのです。

 

家の寿命も重要な「家の燃費」の要素ではないでしょうか?

 

大事な事は、家を建てる前に中途半端な高気密・高断熱を見分ける事

です。

 

そのための勉強会、

 

「後悔しないための 賢い家づくり勉強会」

 

10/6日午後1時30分より

 

清水商工会議所 大会議室 (駿東郡清水町卸団地132)

 

で開催します。

前回同様、皆様のお越しをお待ちしております。
2019.09.20

ミチスガラ

花崎です

 

 

田町駅近くのイタリアン

 

ミチスガラさんで妻とデートです。







中にアユのコンフィが入ってました!









古民家の建物、素敵な器に美味しいお料理。

 

なかなか予約が取れないのも納得ですね。

 

季節を変えてまたお伺いしたいと思います。
2019.09.13

シリーズ・徒然読書録~光藤アサミ著『幸せ招き猫』

あれもこれも担当の千葉です。

 

 

読書は好きで、常時本を持ち歩く癖が付いてしまいましたが、読み方は極めて

大雑把、何かしら記憶のどこか、心の片隅にでも蓄積されていれば良いという

思いで雑然と読み流しています。暫くするとその内容どころか読んだことさえ

忘れてしまうことも。その意味で、読者の皆様には退屈でご迷惑かとも恐縮し

つつ、ブログに読書録なるものを記してみるのは自分にとって有益かも知れない

と思い、始めてみました。皆様のご寛恕を請うところです。

 

徒然なるままに読み散らす本の中から今回取り上げるのは、光藤アサミ著『猫好

きの三十一文字日記「幸せ招き猫」』(文芸社刊)です。



お子さん達が小学校に上がる前に飼うことになった迷い猫が、十数年の後に猫

エイズで安楽死するまでの日々を三十一文字(みそひともじ)で綴った歌集で

す。

 

『日記』と言えば、土佐日記や、蜻蛉日記・和泉式部日記などの王朝女流日記

文学を想起しますが、これらは【散文+短歌】で綴ったものですし、紀行文で

もあり句集でもある奥の細道も【散文+俳句】の形式となっています。女流俳

人の黛まどかさんの『聖夜の朝』も切ない恋の経験を、【散文+俳句】で綴っ

たものでした。

今回の『幸せ招き猫』は、散文が無く、400首を超える三十一文字のみが並

んでいますが、生まれて間もない子猫の頃に飼い始めた迷い猫が、家族の一員

となり、十数年の後に天に召されるまでの日々を、それこそ『日記』のように

活き活きと描写しています。



我が家でも片方の掌に乗ってしまうほど小さい頃に迷い込んで来た子猫を

2匹飼い始めて十数年ですので、身につまされるやら、そうそう!と膝打ち

するやら、楽しく読めました。ここからは、400首余りの中から幾つか

を拾い出してみましょう。

 

・後ろ髪 引かれる思いで 売り猫の 瞳見ぬふり 足早に退く

(飼い始めた迷い猫のために訪れたペット用品売り場で、ケージの中から

訴えるような目を向けて来る売り猫の視線。)

 

・「ムニャムニャ」と 猫が寝言を 言う時は 人と同じで 夢見ているか

(猫も人と同じように、鼾もかけば寝言も言います。歯ぎしりは?)

 

・体重計 急な増加に 仰天す 気付くと猫の 前足が乗り

(お茶目なイタズラをしようと思ったのではないのでしょうが、、、。)

 

・テーブルに 新聞広げ 読み出すと 読ませないぞと 邪魔する子猫

(飼い猫のお得意技ですね。)

 

・旅先で 家が心配 電話する 夫が出るも 「猫どうしてる?」

 

・着替えたり 化粧で外出 分かるのか 猫はすりすり さみしい素振り

(うちの猫たちは、病院に連れて行こうとすると、何故か気配で判るのか

どこかへ隠れてしまいます。)

 

・その昔 後追いをする 子の声を 背中で聞いた 切なさ浮かび

(お留守番は嫌ですものね、猫も子どもも。)

 

・足踏みは 乳の出良くする 仕草とや 子猫の頃の 幸せの癖

(『幸せの癖』という言い回しにノックアウトされてしまいました。)

 

・会食時 椅子が一つ 足りないと 愛猫我の 背中を叩く

(我が家では不在がちの私の椅子が猫らの特等席のようです。)

 

・夏の日の 涼しい風の 通り道 猫の居場所と 猫に教わる

(本当に冬は暖かい所、夏は涼しい所をよく知ってるんですよね。)

 

・昨日まで そこに居た猫 今日は亡し されど鳴く声 幻聴消えず

 

 

猫好きでなくとも、猫との暮らしの悲喜こもごもが胸を撃ちます。著者は私の

高校の先輩でもあります。是非お手に取ってご覧になってみて下さい。
2019.08.31

奥蓼科~夏の想い出

あれもこれも担当の千葉です。



この夏縁があって少しだけゆっくり奥蓼科を訪ねるチャンスに恵まれました。

これまで何回か奥蓼科まで来ていながら、観光に時間を割くことができず残

念に思っていたのです。念願かなって今回は以前から訪れて見たいと思って

いた『御射鹿池(みしゃかいけ)』にようやくお目に掛ることができました。

そう、あの白馬が印象的な東山魁夷画伯の『緑響く』のモチーフとなった池

です。



御射鹿池は、農水省の『ため池百選』にも選ばれた農業用のため池ですが、

水質としては酸性が強く魚が生息できず、その為に却って透明度が高くな

っているのだそうです。東山画伯が描いたままに、水面が穏やかな時には

鏡のように周囲の風景が映り込み、神秘的とも抒情的とも言うべき雰囲気

です。





少しでも雨が降っていたり風が吹いていると水鏡は消え失せてしまいます。

初めて足を運んで、澄んだ鏡を見ることができて、とてもラッキーでした。





吉永小百合さんのCMが印象的だった横谷渓谷。



渋川に沿った横谷渓谷には沢山の滝があり、かなりの規模の遊歩道となって

いて、マイナスイオンを浴びながら自然を満喫することができます。また、

冬の時期には滝が凍りつき、氷瀑となる滝が幾つもあるそうです。







渓谷の入り口に近い乙女滝(おとめだき)。飛沫が降り掛かるこの滝の

掲示板には、『マイナスイオン指数 20,000個/cc』との表示がありま

した。滝の脇まで登って佇んでみると、身体がすぅ~っと浄化されてい

くようです。



行って偶然に知ったのですが、この横谷渓谷、我が三島ともご縁が繋がって

いました。『世界かんがい施設遺産』。なんと、三島の『源兵衛川』とここ

茅野市の『滝之湯堰・大河原堰』は平成28年度、同じタイミングで世界遺

産登録されていたのです。

 

 

奥蓼科のもう一つの楽しみは温泉です。今回は2つの温泉に寄って貰い湯を

して来ました。

 

一つは、渋・辰野館さん。



奈良時代8世紀の開湯と言われるこの名湯は、神功皇后の御代から薬湯とし

て高名であったとされ、戦での傷を癒やす信玄公の隠し湯のひとつでもあり

ます。





廊下には昭和30年頃の写真が。



15歳の、まだ幼さいっぱいの浅丘ルリ子さんでした。



もう一つは、横谷温泉旅館さん。











辰野館さんが、白濁の単純酸性冷鉱泉であるのに対して、こちらは鉄分が多く

真っ茶色の弱酸性冷鉱泉。



家に帰り着いても体中が鉄臭く、匂いの記憶と鮮明に結びついてしまいました。

どちらの温泉も、偶然にも貸切状態で、iPADを持ち込むことが出来たのも、

良い想い出の記録となりました。

 

 

最後は備忘録として。







2019.08.31

夏の一コマ

花崎です

 

 

8月も終わりですね





佐野美術館で深堀隆介展



ミツカドでランチ



美味しかったので後日リピート





設計の川口さん野呂さんとイルコッチュートで暑気払い



朝日を浴びてフィッシングスタート





山正で誕生日祝い



エスパルス、ホームで大敗





久しぶりのビュフェ美術館

 

 

8月を満喫しました!
2019.08.29

「家の燃費の話です(4)」

住まいを担当している大木です。

 

前回、高気密・高断熱の家はアレルギーに有益であると書きましたが、

 

日本人の3人に1人が、

何らかのアレルギー疾患に罹患していると言われています。



内容は食物・花粉・ダニ等々色々あるみたいですが、

その中でも花粉やダニが原因のアレルギーに関しては、

住まいの気密性・断熱性を高めると緩和されることがわかってきました。

ただ現在の省エネ基準レベルでは不十分です。

 

特に喘息やアレルギーの原因は、

皆さん大嫌いな「ダニ」や「カビ」が引き起こしていると言われています。



そして彼らが大好きなのが「結露」です。



結露が生じると、そこにカビが発生しやすくなります。

 

そのカビはダニにとって大好物のご馳走となり、ダニも増加します。

ダニもカビも皮膚炎、鼻炎、喘息の原因です。

結露というと冬のものと考えがちですが、実は夏の結露はやっかいで、

熱い外気にさらされている外壁とエアコンで冷やされた内壁との間、

つまり 結露は壁の中で発生しています。

つまり2 夏の結露は目に見えないため逆にやっかいです。

 

つまり3

性能の低い家は1年中アレルギーを発生する原因の温床

となってるのす。

 

アレルギーの温床以外の事、建物の寿命に関する事についても重要な要素です。

それらについては、次回で書きますね☆

 

実際に東日本大震災の際の仮設住宅において、断熱性能が低かった為に

結露が発生しカビが多く発生し、多くの方々が喘息を発生させてしまいました。

 

皆さんが

 

これから住宅を購入しようとした場合、

同じような現象が安息の場所である自宅で起こったら大変です。

 

そんなことにならないように

 

「後悔しないための 賢い家づくり勉強会」

 

是非 ご予約お願いいたします。

 

次回は 10/6日 午後13:30分より

 

清水町商工会館 大会議室 (駿東郡清水町卸団地132)

 

となります。

 

前回同様、皆様のお越しをお待ちしております。
2019.08.14

シリーズ・徒然読書録~鎌田浩毅著『富士山噴火と南海トラフ』

あれもこれも担当の千葉です。

 

読書は好きで、常時本を持ち歩く癖が付いてしまいましたが、読み方は極めて

大雑把、何かしら記憶のどこか、心の片隅にでも蓄積されていれば良いという

思いで雑然と読み流しています。暫くするとその内容どころか読んだことさえ

忘れてしまうことも。その意味で、読書の皆様には退屈でご迷惑かとも恐縮し

つつ、ブログに読書録なるものを記してみるのは自分にとって有益かも知れない

と思い、始めてみました。皆様のご寛恕を請うところです。

 

徒然なるままに読み散らす本の中から今回取り上げるのは、蒲田浩毅著、『富士

山噴火と南海トラフ~海が揺さぶる陸のマグマ』(講談社・ブルーバックス)。

ブルーバックスは物理・化学を中心に自然科学の入門書として長くに亘って国民

の知的欲求に応えて来た優れたシリーズで、文化系頭の私も理解もできないまま

に(量子力学?エントロピー?)、中学・高校の頃からよく手に取ってきました。



日本は世界有数の火山国・地震国ですから、頻繁な地震や火山の噴火は当たり

前と言えば当たり前なのですが、あの3.11以来、とりわけ東南海地震や首

都圏直下型地震、富士山の噴火の話題が多くなっています。本著は、まさに富

士山噴火を3.11や東南海地震との関連で解説した概説書となっています。



二部構成の前半では、有史以前からの富士山や世界の多くの火山噴火の歴史・

実例をもとに、火山噴火で起きる種々の災害(火山灰、溶岩流、噴石と火山弾、

火砕流と火砕サージ、泥流)の概要を解説し、今後の富士山噴火で起こり得る

被害の想定と防災対策なども論じています。そして後半では、富士山噴火の仕

組みと過去の噴火の概要、3.11が日本列島に与えた影響、富士山噴火と東

南海地震の関係、富士山噴火予知の現状などが記されています。



著者の論旨を纏めてみれば、①3.11によって300年の平静を保っていた

富士山直下のマグマ溜まりに異変が起きて、いつ噴火が起きてもおかしくない

状態となった。②東南海トラフの巨大地震は必ず起こるもので、富士山噴火と

連動する(同時という訳ではないが)かも知れず、被害は長期・甚大となる恐

れがある。③富士山には日本人の心の故郷とも言うべき恩恵があるように、日

本列島にある111個もの活火山がもたらす災いと恵みは表裏一体のものであ

り、怖れ忌み嫌うばかりのものではない、と言ったところでしょうか。

 

 

尚、富士山のおひざ元、富士市のホームページに、過去の富士山の噴火を簡潔

にまとめたページがあるのでご紹介しておきます。

富士市>くらしと市政>防災・安全安心>富士山火山について>富士山の

噴火史について

https://www.city.fuji.shizuoka.jp/safety/c0107/fmervo000000oxtb.html

 

 

この先は、著者の言を抜粋して終わります。

 

『それ(宝永の大噴火)以来、鳴りをひそめていた富士山の地下でまた地震

が起きはじめたのは、2000年の10月だった。300年もの間、静寂を

保っていた富士山が、まだ活きていることを多くの人に知らしめた事件であ

った。』・・・これは、2000年10月から、山頂で4回の有感地震(最

大震度3)や深部での低周波地震の多発が観測されたことを指しています。

 

『その後の2011年に起きた東日本大震災によって、富士山をめぐる状況

は一変した。・・・その四日後に、富士山では震度6強の直下型地震が発生

した。このとき、富士山の「マグマだまり」で、ある重大な異変が起きた可

能性があり、われわれ火山学者は全員肝を冷やした。まだ噴火が起きていな

いのは幸いと言うべきだが、もはや富士山はいつ噴火してもおかしくない

「スタンバイ状態」に入ったと、私は考えている。』・・・3.11の直後

に始まった計画停電の最中に起こった、あの富士宮地震のことです。

 

『東日本大震災の発生以降の日本列島は、今後少なくとも数十年は地震と噴

火が止まない「大地変動の時代」に突入してしまった。近い将来に南海トラ

フで巨大地震が発生することは確実視され、国を挙げて警戒中である。』

 

『富士山は江戸時代に噴火したあと、不気味な沈黙を守っている。言ってみ

れば300年分のマグマを地下に溜めたまま、いつでも噴火できる状態にあ

るのだ。』

 

『もはや富士山は、「いずれは噴火するであろう火山」から、「近い将来に

必ず噴火する火山」へと歩を進めてしまったと考えられる。』

 

『そして何より、富士山の噴火はやがて起きる南海トラフ巨大地震と連動す

るおそれがある。・・・宝永の大噴火は、それに先立って南海トラフでマグ

ニチュード9クラスの巨大地震(宝永地震)が発生してから、わずか49日

後に起きている。次の南海トラフ巨大地震は2030年代に起きると予想さ

れ、その時にはやはりこうした時間差で富士山噴火が連動するかもしれない

ことが、きわめて大きな懸念材料となっている。』

 

『20世紀以降、M9クラスの地震は全世界で8回起きているが、ほとんどの

ケースで、遅くとも地震の数年後に震源域の近傍の活火山で大噴火が発生して

いる。』

 

『富士山噴火と巨大地震の連動にどう対処するかは、わが国にとって存亡を

かけた喫緊の課題と言っても過言はないのである。』

 

 

こうしてみると、確実に近い将来に大災害がもたらされ、なす術もなく立ち

尽くすしかないかと思われますが、被害を減殺し、少しでも早期に復旧する

ための知恵や工夫が無い訳ではありません。

 

『噴火予知は地震予知と比べると、実用化に近い段階にまでは進歩して来た。

しかし、一般市民が知りたい「何月何日に噴火するか」に答えることは、残念

ながら現在の火山学ではできない。』

 

『自然の脅威に対しては、むやみに怖れるのではなく、「正しく」恐れなけ

れば立ち向かうことはできない。そのためには脅威の正体をよく知らなくて

はならない。富士山噴火がもたらす災いと恵みは、実は表裏一体の関係にあ

る。』

 

『宝永噴火の翌年には、富士山の登山客が2倍に増えたという。・・・ひと

たび噴火が起こったときは、火山学をはじめとする科学の力で、可能な限り

被害を小さくする。そして噴火が終息したあとはまた、火山の恵みをゆっく

りと楽しむ。富士山噴火を知ることは、こうした生き方を知ることにつなが

る。そしてこれこそは、世界でも例がないほど火山が密集する日本列島で

「しなやかに」生き延びる知恵といえるのではないだろうか。』

 

『東日本大震災から始まってしまった「大地変動の時代」は、日本人全員が

力を合わせるためのまたとない機会でもある。四季折々の美しい自然と共存

してきた生命力が、われわれにはあるのではないだろうか。』

 

 

なお、噴火の災害の中で、最も広範囲に、しかも長期にわたって被害を及ぼ

すであろう火山灰(ひいては泥流も)についての記述からも抜粋しておきます。

 

『かりに1707年の宝永噴火と同規模の噴火が15日続いたと想定すると、

御殿場市では1時間に1~2センチメートルの火山灰が降り続き、最終的に

120センチメートルに達する。また、富士山の山頂から80キロ離れた横

浜市では1時間に1~2ミリメートルの火山灰が断続的に降り、最後には10

センチメートルの厚さになる。・・・東京都新宿区では噴火開始の13日目

から1時間に1ミリメートル降り、最終的に1.3センチメートル降り積もる。

これにより、富士山の周辺では建物の倒壊(屋根の積灰荷重による)などの

被害が出るほか、噴火から10日過ぎには富士山から100キロメートル以

上離れた首都圏の全域で、道路・鉄道・空港・通信・金融などあらゆる方面

で影響が出る恐れがある。』

 

『宝永噴火をはじめとする富士山の大規模噴火では、最近50年間に桜島が

毎年放出してきた火山灰の200年分を超える量が、たった半月で出たので

ある。』
2019.07.26

シリーズ・徒然読書録~黒木亮著『国家とハイエナ』

あれもこれも担当の千葉です。

 

読書は好きで、常時本を持ち歩く癖が付いてしまいましたが、読み方は極めて

大雑把、何かしら記憶のどこか、心の片隅にでも蓄積されていれば良いという

思いで雑然と読み流しています。暫くするとその内容どころか読んだことさえ

忘れてしまうことも。その意味で、読者の皆様には退屈でご迷惑かとも恐縮し

つつ、ブログに読書録なるものを記してみるのは自分にとって有益かも知れない

と思い、始めて見ました。皆様のご寛恕を請うところです。

 

 

徒然なるままに読み散らす本の中から今回取り上げるのは、黒木亮著『国家と

ハイエナ』(幻冬舎刊)。

 



財政破綻した国家のデフォルト債権をタダ同然の安値で掻き集め、欧米の裁判

所に元本に遅延利息まで乗せて返済を求めて訴訟を起こし、法律論を駆使して

勝訴し国有財産を差押え、投資額の何十倍もの巨額・破格の利益を貪るハイエナ・

ファンドが存在します。日本ではあまり報道されていませんが、国際金融の現場

では、破綻国家の腐敗した権力者と、ハイエナ・ファンドと、NGOの三つ巴の

戦いが繰り広げられており、コンゴ共和国債、リベリア債務、ペルー国債、ザン

ビア債務などなど、本書にあることはすべて現実に起こったことだそうです。

著者の黒木氏の、銀行・証券・商社での長い勤務経験が可能にした金融ドキュ

メンタリー小説で、臨場感があり、説得力があります。ただ、同時に国際金融の

専門的法知識が飛び交い過ぎて、いささかスピード感に欠け、煩わしさを禁じ

得ませんでした。



腐敗した権力者が自らの私利を貪り、国家を破綻させて行く。そこに付け込んで

暴利を貪るハイエナ・ファンド。その代償はみな弱者である国民に回ってしまう。

そこで無辜の民へ救いの手を差し伸べるべく、NGOが反ハイエナ法の制定を働き

掛ける。こうして三つ巴の構図が出来上がります。

 

重病の妻の医療費のためにハイエナ・ファンドの手先に成り下がってしまった

NGO職員のその後の悲惨な人生などを織り込みながら、物語が展開し、ついに

イギリス議会で反ハイエナ法が成立するも、ハイエナ・ファンドはこの法律が

対象とする最貧国向け債権以外の国家債務に触手を伸ばして行く。ギリシャ、

アルゼンチン。いたちごっこを思わせる終わり方が、この問題の深刻さを物語

っているようです。



最後に。小説の中で大活躍をするNGOの首領は日本人女性で、実在の北沢洋子

さんという、この世界のヒロインだということを知り、少し救われた思いが

しました